ステークホルダーインタビューのテンプレート:質問と記入例
誰に話を聞き、何を尋ね、1人1枚のメモに残し、発言までたどれる結論を出す。
この記事の内容
コンサルティング案件のステークホルダーインタビューのテンプレートは3つで構成されます。誰に聞くかのリスト、テーマ別の質問集(目標、現状、課題、制約、成功の定義、意思決定の仕方)、そして45分のインタビューごとに記入する1ページのメモシートです。3つとも下に載せ、記入例とまとめ方も添えました。
録音は任意です。私たちはAIノートテイカーを作っており、後半で自社ツールが役立つ場面とできないことを書いています。このテンプレートを使うのにツールは必要ありません。
ステークホルダーインタビューの目的
案件の初めに行うステークホルダーインタビューは、何かを提案する前に、クライアントが実際にどう動いているかを教えてくれます。各リーダーが何を望んでいるか、業務がどこで詰まるか、何が変えられないか、そして誰があなたの提言を決めるのか。受注のきっかけになった営業の打ち合わせ(ディスカバリーコール)とは別物で、契約後に、あなたの仕事が影響する人たちと行います。
誰にインタビューするか
リストはキックオフでスポンサーと合意しておきます。多くの案件では8〜15件のインタビューが必要です。新しいインタビューから新しいテーマが出なくなったら止め、最後には必ず「ほかに誰と話すべきですか」と尋ねます。
| 誰 | 必要な理由 | 主に時間を使うテーマ |
|---|---|---|
| スポンサー(依頼者) | 成功を定義し、関係の窓口になる | 目標、成功、意思決定 |
| 予算責任者または最終決裁者 | あなたの提言を承認する | 制約、判断基準 |
| 影響を受ける部門の責任者 | 変化がそのチームに降りかかる | 現状、課題、抵抗 |
| 現場の担当者 | 実際の仕事の進め方を知っている | 現状、回避策 |
| IT・データの責任者 | 解決策を可能にも、止めることもできる | システム、データへのアクセス、制約 |
| 懐疑的な人 | 他の人が避けるリスクを口にする | 過去の失敗、考えが変わる条件 |
| 顧客と接する担当者 | 顧客の不満を直接聞いている | 課題、具体例 |
インタビュー前:案内文と45分の進行表
短い案内を送り、なぜ話を聞きたいのか、所要時間、発言の使い方、録音したいかどうかを伝えます。例:
[クライアント]と[プロジェクト]に取り組んでおり、[業務]が今どう回っているかについてのあなたの見方が重要です。所要時間は45分です。お話はテーマとしてまとめ、役職で記載し、お名前は出しません。発言を正確に残すため録音したいのですが、手書きのメモのほうがよければお知らせください。
| 分 | 内容 |
|---|---|
| 0〜5 | 目的、回答の使い方(実名か役職のみか)、録音する場合はその告知 |
| 5〜10 | 相手の役割と、このプロジェクトとの関わり |
| 10〜20 | 目標と、今の業務の回り方 |
| 20〜30 | 最近の具体例を伴う課題、制約 |
| 30〜38 | 成功の姿と、意思決定の仕方 |
| 38〜43 | 「聞き漏らしたことは?」「ほかに誰と話すべきですか?」 |
| 43〜45 | 今後の流れとお礼 |
テーマ別のステークホルダーインタビュー質問
全部は聞きません。相手ごとに各テーマから2〜3問を選び、答えには毎回「最近の具体例を教えてもらえますか」と続けます。
役割と関わり
- あなたの役割は何で、このプロジェクトはあなたの仕事にどう関わりますか。
- うまくいったら、あなたのチームで何が変わりますか。
- 始めるという判断に、どう関わりましたか。
目標
- あなたの言葉で、この案件は何を達成すべきですか。
- 目標を1つしか達成できないなら、どれですか。
- なぜ去年ではなく、今なのですか。
現状
- [業務]が今どう回っているか、順を追って説明してください。
- 回避策はどこにありますか。スプレッドシート、別のメール、詳しい1人の担当者など。
- 信頼できる数字はどれで、信頼できない数字はどれですか。
課題
- 今いちばん困っていることは何ですか。
- 最後にうまくいかなかったのはいつで、時間、お金、顧客の面で何を失いましたか。
- 以前に何を試し、なぜ止まったのですか。
制約
- 変えられないものは何ですか。システム、契約、日程、ルールなど。
- 今年、同じ人たちを取り合っている取り組みは何ですか。
- 決算期や繁忙期のように、何も変えられない時期はありますか。
成功
- 1年後、うまくいったとどうやって分かりますか。
- どの数字が、いくつからいくつに動きますか。
- すべて納品しても失敗だと感じるのは、どんな場合ですか。
意思決定と影響力
- 私たちの提言は誰が、どのように決めますか。
- その人たちは誰の意見を重く見ますか。
- これが変わると、誰が何かを失いますか。
- この件で、あなたと同僚の意見が分かれるのはどこですか。
- ここで提言が受け入れられにくくなるのは、どんな場合ですか。
1ページのステークホルダーインタビュー・メモテンプレート
1件につき1枚です。表をWord、Googleドキュメント、メモアプリにコピーし、角かっこを聞いた内容に置き換えます。発言そのものは「」で囲み、後で自分の要約と区別できるようにします。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| インタビュー | [氏名、役職] [日付、時間、対面か通話か] [合意した記載方法:実名か役職のみか] |
| 役割と関わり | [担当していること] [その人にとって何が変わるか] |
| 目標 | [本人の言葉で] [最も重要なもの] [なぜ今か] |
| 現状 | [業務の回り方] [回避策] [信頼できる、またはできないデータ] |
| 課題 | [課題] [最近の具体例] [失ったもの] |
| 制約 | [変えられないもの] [凍結期間] [人員と予算の上限] |
| 成功 | [どう測るか] [いくつからいくつへ] [いつまでに] |
| 意思決定と影響力 | [誰が決めるか] [誰の意見を聞くか] [誰がなぜ抵抗しそうか] |
| 残しておく発言 | [「そのままの言葉」] [録音した場合は録音内の時刻] |
| 他のインタビューとの違い | (まとめの段階で記入) |
| ほかに話すべき人 | [氏名、役職] |
| 約束したフォローアップ | [何を] [誰が] [いつまでに] |
| 自分の所見(終了後) | [2行:驚いたこと、次に確かめること] |
ステークホルダーインタビューの記入例
地方の卸売業者で受注から入金までのプロセスを見直すコンサルタントの例です。クライアント、人物、数字はすべて架空です。
| 項目 | メモ |
|---|---|
| インタビュー | 財務部長。11月18日、45分、対面。同意を得て録音。役職のみで記載することで合意。 |
| 役割と関わり | 債権回収とこのプロジェクトの予算を担当。部下が支払い遅延の督促をしている。 |
| 目標 | 「人を増やさずに早く入金されたい」。最重要は入金までの日数を減らすこと。なぜ今か:春に銀行が融資枠を見直す。 |
| 現状 | 受注はERP、請求書は別ツールから発行、係争は2人の担当者が共有スプレッドシートで管理。 |
| 課題 | キャンペーン後に誤った価格の請求書が出る。先月は1つのキャンペーンで40件の請求書が係争になった。「顧客が支払いを拒んで初めて気づく」。 |
| 制約 | ERPは2028年まで変えない。採用なし。12月と1月の決算期間は何も変えられない。 |
| 成功 | 1年以内に入金までの日数を62日から45日に。係争を半減。 |
| 意思決定と影響力 | 本人とCEOが決める。営業部長はCEOへの影響力が大きい。請求前の価格チェックに営業が反発する可能性。 |
| 残しておく発言 | 「値引きを約束するのは営業で、払うのは財務」(12:40) |
| 他のインタビューとの違い | 営業部長は、係争の原因は価格ではなく納品遅れだと述べた。 |
| ほかに話すべき人 | 与信管理担当と価格分析担当。 |
| 約束したフォローアップ | 本人が金曜までに係争のスプレッドシートを送る。こちらはステアリングコミッティの前にテーマを共有する。 |
| 自分の所見 | 財務側の強いスポンサー。価格か納品かが、データで確かめるべき対立点。 |
8〜15件のステークホルダーインタビューのまとめ方
危ないのは、スポンサーの意見をなぞるだけの報告です。短い手順で正直さを保ちます。
- 表を作る:1行に1人、1列に1テーマ。各セルには短い言い換えと、どの発言から取ったかを書く。
- 結論の前に数える。「11人中7人がキャンペーンを係争の原因に挙げた」は発見で、「価格に問題がある」は印象にすぎない。
- すべてのテーマで「違い」の欄を埋める。反対意見が1つも書かれていない発見は、まだ検証されていない。
- 平均せず、グループごとに分ける。経営層と現場は別のプロセスを語ることが多く、その差こそが発見であることが多い。
- インタビューまでたどれる発言だけを引用し、録音した場合はその箇所を聞き直す。
- 記載方法の約束を守る。役職のみと合意しても、1人だけのグループ(唯一の財務部長)なら本人が特定できる。グループをまとめるか、先に確認する。
- 報告の前にテーマをスポンサーに共有し、ステアリングコミッティの場で誰も驚かないようにする。
ステークホルダーインタビューを録音する場合
録音は引用に役立ち、テーマを実際の発言と照らし合わせるのにも使えます。一方で責任も増えるので、任意です。
先に伝える
ボットのない録音ツールは相手に何も表示しないため、伝えるのはあなたの役目です。案内文で伝え、冒頭でも「メモのために録音します。よろしいですか」と確認します。断られたら録音を止め、メモシートを手で記入します。
カリフォルニア州では、全当事者の同意なく機密の会話を録音することは犯罪です(刑法第632条)。ドイツでは、他人の公開されていない発言を無断で録音することは刑事罰の対象です(刑法典第201条)。GDPRでは録音に法的根拠が必要で、本人からデータを取得する際には目的と法的根拠を知らせなければなりません(第6条、第13条)。自社の方針や契約で録音を禁じているクライアントもあります。ルールは国や州によって異なるため、インタビューの参加者全員がいる場所のルールを確認してください。
ほかのテンプレートが触れない点がもう1つあります。「役職のみ」の約束が及ぶのは報告書であって、録音ではありません。文字起こしには声も名前も残ります。チームの誰が開けるかを決め、その人たちに限定しましょう。
Relineが役立つ場面
Relineは、Mac、Windows、Linux(ベータ)またはブラウザで、マイクとパソコンの音声をローカルで取り込み、ボットは参加しません。文字起こし、AI、保存はクラウドで行います。Relineは録音しながら文字起こしするため、別の録音ツールのファイルは文字起こしできません。録音は残るので、引用する前に文字起こしのどの行でも再生できます。要約には出典が付かないため、文字起こしと照らし合わせてください。
一連のインタビューでは、クライアントごとにフォルダを作り、その案件のインタビューをすべて入れます。フォルダ単位のチャットなら、「係争について皆は何と言っていたか」のような1つの質問をまとめて投げられ、回答は再生できるタイムスタンプ付きで文字起こしの行を引用します。反対意見の人も含めて表を埋めるのに役立ちます。回答は手がかりとして扱い、資料に入れる前にその行を確認してください。
- 話者:ラベルは「自分」と「相手」で、ベータ版では声に番号が付き、名前は自分で付けます。名前は自動では付きません。同じ部屋では全員が1本のマイクに入るため、引用前に誰の発言か確認してください。
- アクセス:ノートは初期設定で非公開で、ワークスペースの役割だけでは何も見られません。クライアントのフォルダは、その案件のメンバーだけと共有します。
- 書類:DPAを用意しています。SOC 2レポートはありません。
- 料金:1席あたり月15ドル。無料プランは文字起こし10時間、1ノートあたり1時間までです。
このテンプレートは紙でも使えます。録音するなら先に伝え、名前についての約束を守り、テーマを決めるのは声の大きさではなく数にしましょう。
よくあるご質問
- ステークホルダーインタビューのテンプレートには何を入れるべきですか?
- 誰に聞くか、テーマ別の質問集(役割、目標、現状、課題、制約、成功、意思決定と影響力)、そしてインタビューごとの1ページのメモシートです。メモには発言、フォローアップ、ほかに話すべき人、事実と分けた自分の所見の欄を設けます。
- ステークホルダーインタビューでは何を質問すればよいですか?
- 各テーマ2〜3問です。プロジェクトで何を達成すべきか、今の業務の回り方、最後にうまくいかなかった時期とその損失、変えられないもの、成功の測り方、誰が決めるか。最後に「聞き漏らしたことは?」「ほかに誰と話すべきですか?」と尋ねます。
- ステークホルダーは何人にインタビューすべきですか?
- 多くのコンサルティング案件では8〜15人です。スポンサー、決裁者、影響を受けるチームの責任者、現場、IT・データ担当、少なくとも1人の懐疑的な人を含め、新しいテーマが出なくなったら止めます。
- ステークホルダーインタビューの時間はどれくらいが適切ですか?
- 多くの場合45分程度です。目的と同意に5分、質問に30〜35分、ほかに話すべき人と次のステップに数分。経営層は30分しか取れないこともあり、その場合は目標、成功、意思決定に絞ります。
- ステークホルダーインタビューのメモは、終わった後どう使えばよいですか?
- 人×テーマの表に全インタビューを入れ、各テーマを挙げた人数を数え、反対意見を記録し、経営層と現場を分け、出典をたどれる発言だけを引用し、報告前にテーマをスポンサーに共有します。
- ステークホルダーインタビューを録音してもよいですか?
- 相手が同意すれば可能です。案内文と冒頭で伝え、断られたら止めます。カリフォルニア州やドイツのように、法律が求める同意なしの録音が犯罪になる地域もあります。インタビューの参加者全員がいる場所のルールを確認してください。
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