講義を文字起こしする方法:無料で、ライブでも録音でも
ケースは2つ、方法も2つ。いま受けている講義と、すでに手元にある録音です。
この記事の内容
講義を文字起こしするには、まずライブか録音済みかを考えます。ライブなら、ノートPCで文字起こしアプリを使います。教室ではPCのマイク、オンライン授業ではPCの音声です。録音や動画なら、まず字幕を探し(YouTube、授業の動画プレーヤー)、なければWordのトランスクリプト機能などにファイルをアップロードします。
あなたの講義に合う方法
| 手元にあるもの | 無料または標準の方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| いま教室で受けている講義 | Googleドキュメントの音声入力、Wordのトランスクリプト機能、またはノートPCのライブ文字起こしアプリ | 距離:先生はマイクから遠いので、座る位置がいちばん効きます |
| いま受けているオンライン授業 | PCの音を録音できるアプリ、またはスピーカーを鳴らしたWord | ヘッドホン:耳にだけ届く音はマイクには聞こえません |
| YouTubeの講義動画 | 動画の説明欄の[文字起こしを表示] | 字幕のある動画だけで、自動字幕には誤りがあります |
| 授業の動画プレーヤーにある講義 | 大学が有効にしていれば、プレーヤーの字幕や文字起こし | 大学によって違うので、授業の担当者に確認します |
| 音声・動画ファイル(MP3、M4A、WAV、MP4) | Wordの[オーディオのアップロード]、Otterの無料プラン、またはWhisper | 月あたりの分数、インポートの上限、Whisperのセットアップ |
どの方法でも、まず大学の規則を確認してください。録音のルールで、文字起こしやAIツールに明確に触れている大学もあります(詳しくは後半で)。
講義をライブで文字起こしする方法
ライブの文字起こしで難しいのは、きれいな音をアプリに入れることです。教室では、先生の声が部屋の向こうからノートPCのマイクに届きます。オンライン授業ではPC自身の音で、これはマイクには聞こえません。
教室で
- 前の方の、先生の正面寄りに座り、ノートPCは開いたまま電源につなぎます。
- マイクはキーボードのすぐ横にあるので、タイプは静かにするか、紙にメモを取ります。
- 講義の30秒前に始めて、文字が出ることを確かめます。
Googleドキュメントの音声入力は、多くの人が最初に試す無料の方法です。文書を開き、[ツール]から[音声入力]を選び、マイクをクリックします。Googleは対応ブラウザとしてChrome、Edge、Safariの最新版を挙げています。ただし、これは口述用です。Googleのヒントは、はっきり、普通の音量と速さで話すよう求めています。文字は直接文書に入り、ヘルプページには音声を残す方法の説明がなく、句読点はすべての言語で使えるとは限りません。教室の前方にいる先生の声は、音声入力には難しい相手です。
Wordのトランスクリプト機能(次の章)はマイクを録音して音声も残します。Relineのような専用アプリも同じで、自信のない行をあとで聞き直せます。
オンライン授業
講義がPCで再生されるとき、言葉はスピーカーやヘッドホンに流れ、マイクには入りません。対処法は2つです。
- システム音声を取り込めるアプリで、PCの音を直接録音します。たとえばRelineのデスクトップアプリです(後述)。
- または講義をスピーカーで流します。Wordで通話を文字起こしする場合、Microsoftはヘッドセットを使わず、デバイスから出る音を録音に拾わせるよう勧めています。うまくいきますが、部屋の雑音も入ります。
Microsoft Wordで講義を文字起こしする方法
Wordのトランスクリプト機能は、ライブで録音するか音声ファイルを受け取り、文書に追加できる文字起こしを作ります。Microsoftによると、使えるのはWeb版Word(新しいMicrosoft EdgeかChromeが必要)と、法人アカウント向けのWindows版Word for Microsoft 365です。Microsoft 365にサインインして使います。Macでは、ChromeかEdgeで使うWeb版Wordが選択肢になります。
- Web版Wordで文書を開きます。[ホーム]タブで[ディクテーション]の横の矢印をクリックし、[トランスクリプト]を選びます。
- ライブの講義なら[録音の開始]を選び、ブラウザに聞かれたらマイクを許可します。ファイルなら[オーディオのアップロード]を選び、.wav、.mp4、.m4a、.mp3のファイルを指定します。
- ライブの講義が終わったら[保存してトランスクリプトを作成する]を選び、処理中はパネルを開いたままにします。
- セクションごとに修正し、Speaker 1を先生の名前に変えてから、[すべてをドキュメントに追加]を選びます。
月ごとの上限はアップロードにかかります。Microsoft 365サブスクリプションでは、アップロードした音声が月300分まで(50分の講義でおよそ6回分)、Microsoft Copilotライセンスでは月30,000分までです。Microsoftによると、アップロードした音声の文字起こしには最大でファイルの長さほどかかることがあり、80以上の言語・地域に対応しています。音声はOneDriveの[トランスクリプトされたファイル]フォルダーに保存されます。Wordが保持する文字起こしは1文書につき1つで、新しく作ると前のものは削除されます(すでに文書に追加した文字は残ります)。講義ごとに文書を分けましょう。
録音済みの講義や講義動画を文字起こしする方法
何かを文字起こしする前に、すでに文字起こしがないか確かめましょう。あることも多いです。
YouTubeの講義動画
動画の説明欄で[文字起こしを表示]をクリックします。YouTubeは字幕のある動画なら文字起こしを表示し、動画に合わせてスクロールし、行をクリックするとその場面に移動します。自動字幕は機械学習で作られます。Googleは、なまりや方言、背景の雑音のせいで発言を正しく表さないことがあり、動画が長すぎる、音質が悪い、冒頭に長い無音があるといった場合には表示されないこともあると注意しています。Googleのヘルプページにダウンロードの説明はありません。
授業の動画プレーヤーにある講義
大学は録画した講義を、講義収録システムや授業ページ内の動画プラットフォームで公開することが多く、そうしたプレーヤーの中には字幕や文字起こしを表示できるものもあります。あなたのプレーヤーで使えるかは、大学が何を有効にしているかによります。プレーヤーで字幕や文字起こしのボタンを探し、見つからなければ授業の担当者やITヘルプデスクに聞いてください。障害のために文字起こしが必要なら、障害学生支援の窓口に相談しましょう。
音声・動画ファイル
| ツール | できること | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| Wordのトランスクリプト機能 | Microsoft 365サブスクリプションで月300分のアップロード | .wav、.mp4、.m4a、.mp3に対応。文字起こしでは声がSpeaker 1、Speaker 2と表示されます |
| OtterのBasicプラン(無料) | 音声・動画のインポートは1ユーザーにつき通算3件。すべての文字起こしで共有する月300分の範囲内 | Basicは1会話あたり最大30分の文字起こしなので、長い講義にどう適用されるか確認してください。Proは90分、月10件のインポートと記載 |
| Whisper(OpenAI、オープンソース) | MITライセンスで無料 | Pythonとffmpegで自分でインストールし、コマンドラインで実行します。大きなモデルにはメモリの多いグラフィックカードが必要です |
| Reline | ファイルのアップロードなし | 録音は再生している間だけ、リアルタイムで文字起こしします(次の項) |
Whisperはコマンドラインに慣れた学生向けです。インストール後は、コマンド1つで自分のPC上でファイルを文字起こしでき、--languageオプションで講義の言語を指定できます。READMEには6つのモデルサイズがあり、最小でおよそ1GB、最大でおよそ10GBのグラフィックメモリが必要とされています。動画から単語カードを作る学習アプリは、講義向けAIノートテイカーの比較記事で紹介しています。
Relineにはアップロードがない:再生しながら聞かせる
Relineは録音しながら文字起こしするもので、音声や動画のアップロードはありません。手元の録音には回り道があります。PCで再生しながら、RelineのデスクトップアプリにPCの音を録音させるのです。リアルタイムなので、90分の講義には90分かかります。Freeプランでは1つのノートの録音は最大1時間です。最初のノートが止まったらプレーヤーを一時停止し、2つ目のノートを始めて再生を続けるか、有料プランを使ってください。
- ヘッドホンをつけて通知を切り、講義の音だけが文字起こしに入るようにします。
- 録音を好きなプレーヤーで、または講義動画をブラウザで開きます。
- Relineで録音を押し、講義を最初から通常の速度で再生します。速度を上げた再生は試していません。
- 1分ほどたったら文字起こしが進んでいることを確かめ、そのまま流します。
- 終わったら停止します。講義の行は「相手」側(PCの音)に入り、各行に再生ボタンが付きます。
Relineで講義を文字起こしする
Reline(私たちの製品)は、Mac、Windows、Linux(ベータ版)向けのデスクトップアプリで、先生が話すそばからリアルタイムで文字起こしします。60以上の言語に対応し、言語は自動で検出します。上の2つのライブのケース(教室のマイクとオンライン授業のPCの音)に加えて、録音を再生する方法にも使えます。音声が残り、文字起こしの各行に再生ボタンが付きます。文字起こしの横にはAIによる要約も表示されます。
- Relineアプリをインストールしてサインインします。Freeプランはカード不要です。
- マイクを許可します。オンライン授業や録音の再生では、システム音声も許可します。Macでは、macOS 14.2以降は音声のみの権限、macOS 13〜14.1は画面収録の権限を求められ(その後Relineの再起動が必要なことが多いです)、macOS 13より前はマイクだけが録音されます。Windowsでは、既定の出力から流れる音をすべて録音するので、ほかのアプリはミュートしてください。
- 設定の[文字起こし]で、講義の途中で言語が変わるなら[文字起こしの言語]を[自動検出]のままにし、そうでなければ講義の言語を選びます。授業の用語は[あなたの用語集]に追加します。
- 講義が始まったら録音を押します。文字起こしが1行ずつ表示されます。
- 終わったら停止します。あとでチャットに講義について質問すると、回答は文字起こしの該当行を[m:ss]のタイムスタンプ付きで引用します。
教室ではすべてが1つのマイクから入るため、文字起こし全体が「自分」と表示されます。何もインストールできない場合は、RelineをChromeで使えます。マイクはすぐに聞こえ、ブラウザーのタブで流れる講義なら、そのタブを音声付きで共有します。
Relineが向かないこと
- ファイル:音声や動画のアップロードはないので、録音は再生している間だけ、リアルタイムで文字起こしされます。
- Freeプランでの長い講義:1つのノートの録音は最大1時間で、プランに含まれる10時間の文字起こしは1学期分の講義で使い切ります。
- スマートフォン:モバイルアプリはありません。ノートPCかChromeで録音します。
- 教室での声:マイクが1つなら、すべての行が「自分」になります。ベータ版の[共有マイク]はそのマイクの声に番号を振り(推定です)、名前は自分で付けます。
- スライドと動画:残るのは音声と文字起こしだけで、画面に映ったものは残りません。
- オフライン利用:PC上で行うのは取り込みだけです。
講義の文字起こしの精度を上げるコツ
- 距離を縮める:教室では前に座り、オンライン授業ではツールが対応していれば、スピーカーとマイクを通さずにPCの音を直接録音します。
- 言語を設定する:先生が言語を切り替えるなら自動検出が役立ちます。講義全体が1つの言語なら、ツールで選べる場合は指定したほうが確実です。
- 授業の用語を教える:人名、読み上げた数式、専門用語は文字起こしが崩れやすいところです。Relineでは[あなたの用語集]に追加します。
- 音声を残す:文字起こしは下書きです。勉強に使う前に、名前、数字、定義を録音と照らし合わせて確認します。
- 1ファイル(1ノート)に1講義:短いほうが確認しやすく、無料プランによってはどのみち長さに上限があります。
講義を文字起こししてもいいのか
多くの場合、自分の勉強のためなら認められますが、条件が付くことが多く、ルールは大学や国によって違います。これは法的助言ではありません。何を確認すべきかは、実際の2つの規則でわかります。
- カルガリー大学(University of Calgary)の学則は、教員の裁量で個人的な学習のための音声録音を認め、それ以外の利用には教員の書面による承認を求めていて、その利用の中に文字起こしを挙げています。
- コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)の、録音を認められた学生向けのルールは、録音を個人の学習に限り、インターネットや人工知能(AI)技術も含めて、講師の事前の書面による同意なしに共有することを禁じ、学期末に録音を破棄するよう求めています。
ここで大事なのは2つ目のタイプです。オンラインの文字起こしサービスはAIで動いていて、クラウドで文字起こしするRelineも同じです。こうしたルールがある場合は、講義をアップロードしたり、これらのツールに再生して聞かせたりする前に書面で同意を得て、文字起こしは自分だけのものにし、授業が終わったら削除しましょう。
文字起こしのあとは、それで勉強する
文字起こしは素材です。復習用のノートにまとめ、間違えたところだけ音声に戻りましょう。
出典
- Microsoft Support, "Transcribe your recordings": support.microsoft.com
- Google Docs Editors Help, "Type & edit with your voice": support.google.com/docs
- YouTube Help, "View video transcripts" and "Use automatic captioning": support.google.com/youtube
- Otter.ai, "Pricing": otter.ai/pricing
- OpenAI, Whisper README: github.com/openai/whisper
- University of Calgary Calendar, "E.6 Recording of Lectures": calendar.ucalgary.ca
- University of Colorado Boulder Disability Services, "Student Parameters for Recording Class Lectures": colorado.edu/disabilityservices
よくあるご質問
- 録音した講義を無料で文字起こしするには?
- まず既存の文字起こしを探します。YouTubeなら[文字起こしを表示]、授業の動画プレーヤーなら字幕です。ファイルなら、インストールできればWhisperは無料です。OtterのBasicプラン(無料)はインポートが1ユーザー通算3件で、1会話あたり最大30分の文字起こしです。Microsoft 365サブスクリプションがあれば、Wordのトランスクリプト機能で月300分までアップロードできます。
- Wordで講義を文字起こしするには?
- Web版Wordで[ディクテーション]の横の矢印をクリックし、[トランスクリプト]を選びます。ライブの講義なら[録音の開始]、.wav、.mp4、.m4a、.mp3のファイルなら[オーディオのアップロード]を選び、最後に[すべてをドキュメントに追加]を選びます。Microsoft 365サブスクリプションでは、アップロードした音声を月300分まで文字起こしできます。
- Googleドキュメントで講義の録音を文字起こしできますか?
- ファイルからはできません。音声入力([ツール]の[音声入力])はマイクが聞いた言葉を入力するもので、Googleのヘルプページは口述用として説明し、録音については何も書いていません。ファイルには、Wordのトランスクリプト機能、Otter、Whisperを使います。
- 講義動画の文字起こしを手に入れるには?
- YouTubeでは、動画の説明欄で[文字起こしを表示]をクリックします。字幕のある動画に表示されます。授業の動画プレーヤーでは、字幕や文字起こしのボタンを探します。なければ、ダウンロードが許されている場合はファイルを文字起こしツールにアップロードするか、ライブ文字起こしアプリでPCの音を録音しながら動画を再生します。
- Relineで手元の講義の録音を文字起こしできますか?
- アップロードではできません。Relineには音声・動画ファイルのアップロードがありません。PCで録音を再生しながらデスクトップアプリにPCの音を録音させれば、リアルタイムで文字起こしします。Freeプランでは1つのノートの録音は最大1時間なので、90分の講義には2つのノートか有料プランが必要です。
- 教授の講義を文字起こししてもいいですか?
- 個人の学習のためなら認められることが多いですが、大学の規則を確認し、先生に聞いてください。文字起こしや、録音をAIツールと共有することに書面の承認を求める規則もあり、録音は非公開にして授業後に削除するよう求められることもよくあります。これは法的助言ではありません。


