米国の採用面接でAIノートテイカーを使う前に候補者へ伝えること
会議に参加しないノートテイカーは、候補者に何も表示しません。あなたの通知が、候補者が受け取る唯一の通知です。
この記事の内容
面接の前に、すべての候補者へ書面で伝えましょう。AIノートテイカーが会話を録音・文字起こしすること、その目的、誰がメモを見るか、どれくらい保管するか、不利益なく断る方法です。そのうえで明確な同意を得ます。通話に参加しないツールは画面に何も出ないため、あなたの通知だけが頼りです。
これが米国全体での基本です。さらに、録音に全当事者の同意を求める州が約11あり、イリノイ州には面接でのAI利用に関わりうる法律が3つあり、ニューヨーク市は採用判断を大きく左右するAIツールを規制し、連邦の差別禁止法はメモの使い道すべてに適用されます。本ガイドでは順に確認し、最後に調整して使える通知文と同意スクリプトを載せています。
ボットなしのノートテイカーほど、通知の責任が重くなる理由
Zoom、Teams、Google Meetの面接にボットが参加すると、候補者には参加者が1人増えたことが見え、プラットフォーム自体の録画機能は独自の通知を表示します。面接官のパソコンで音声を取り込むノートテイカーは、そのどれも表示しません。参加者リストには何も現れず、プラットフォームも検知できず、対面の面接なら画面すらありません。
会話にとっては良いことです。緊張した候補者が考えている最中に、画面にボットが映ったり「Notetakerが参加しました」と表示されたりしません。ただし録音に関する法律は、人を録音することそのものを対象にしており、録音の仕組みは問いません。ボットもプラットフォームの表示もない以上、通知はすべてあなたの役目です。明示的に、早めに、書面で行いましょう。
米国のルール早見表
| ルール | 面接に関わる場面 | 求められること |
|---|---|---|
| 連邦盗聴法(ECPA) | 録音するすべての面接 | 一方当事者の同意が連邦の最低ライン。より厳しい州法は別途適用 |
| 全当事者同意の州 | 候補者か面接官がCA、DE、FL、IL、MD、MA、MI、MT、NH、PA、WAにいる | 録音前に全員の同意 |
| Illinois AI Video Interview Act | イリノイ州の職務で、応募者に動画面接を録画させAIで分析する | 通知、AIのわかりやすい説明、同意、共有の制限、依頼から30日以内の削除 |
| Illinois Human Rights Act(HB 3773) | 2026年1月1日以降、採用や昇進などの人事判断にAIを使う | AI利用の通知と、差別的な影響を生まないこと |
| Illinois BIPA | ツールが声紋を取得する(声で人物を見分けるなど) | 目的と期間の書面通知、書面での同意、公開された保存期間の方針 |
| NYC Local Law 144 | NYCの職務で、AIツールが採用判断を実質的に支援または代替する | 1年以内のバイアス監査、監査結果の概要の公開、NYC在住者への10営業日前の通知 |
| Title VIIとADA(EEOC) | 従業員15人以上の雇用主 | AIを使った判断で不当な格差を生まないこと。求めに応じた合理的配慮 |
ステップ1:録音について全員の同意を得る
連邦法は一方当事者の同意しか求めず、あなた自身も当事者です。しかしそれで終わりではありません。Reporters Committee for Freedom of the Pressによると、11の州が原則として全当事者の同意を求めています。カリフォルニア、デラウェア、フロリダ、イリノイ、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガン、モンタナ、ニューハンプシャー、ペンシルベニア、ワシントンです。オレゴンとミズーリは対面の会話では全員、電話では一方の同意を求め、コネチカットとネバダはその逆です。ハワイとメインは、特に私的な場所に限り全員の同意を求めます。
面接はリモートで行われ、応募はどこからでも届きます。参加者が別々の州にいる場合は、最も厳しいルールが適用されると考えるのが安全です。カリフォルニア州最高裁はKearney v. Salomon Smith Barney(2006年)で実際に、ジョージア州で録音された通話にカリフォルニア州の全当事者同意ルールを適用しました。リモートの候補者がどこにいるかを確実に知ることはまれなので、採用チームの実務ルールはシンプルです。すべての面接を全当事者同意のケースとして扱いましょう。
- 当日ではなく、面接の確認メールと一緒に書面で尋ねる。
- 冒頭でもう一度口頭で尋ね、本当の返事を待つ。
- 沈黙やためらいは「いいえ」として扱う。
- 途中から加わる2人目の面接官など、通話中の全員に尋ねる。
- 候補者が断ったら何も録音しない。「自分用に音声だけ」も含めて。
ステップ2:イリノイ州の3つの法律を確認する
イリノイ州は現在、採用におけるAIを最も強く規制している州であり、全当事者同意の州でもあります。同州を拠点とする職務では、3つの法律を確認しておきましょう。
AI Video Interview Act(820 ILCS 42)
2020年施行のこの法律は、イリノイ州を拠点とする職務について、応募者に動画面接を録画させ、その動画をAIで分析する雇用主に適用されます。面接前に、AIが動画を分析しうること、AIの仕組みと評価する特徴の大まかな種類を説明し、同意を得なければなりません。動画は評価に必要な専門知識や技術を持つ人とだけ共有でき、応募者から依頼があれば、第三者が持つバックアップも含め30日以内に削除する必要があります。2022年からは、対面面接に進む人をAI分析だけで決める雇用主は、毎年州に人口統計データを報告する義務も負っています。
条文上、この法律は応募者の動画をAIで分析することを対象としています。ライブ通話の音声ノートテイカーは別の形態です。ただし、ツールが動画を分析したり、カメラ越しの印象を評価したりするなら、法律をよく読みましょう。厳密には適用されない場合でも、その通知と削除のルールはお手本になります。
Human Rights Actの改正(HB 3773)
2026年1月1日から、Illinois Human Rights Actは、採用、雇用、昇進などの人事判断で差別的な影響を生む形でAIを使うこと、郵便番号を保護属性の代わりに使うことを公民権侵害としています。これらの目的で通知なしにAIを使うことも違反です。通知の時期と方法はIllinois Department of Human Rightsが定められるため、最新のルールを確認してください。面接のAIメモや評価が採用判断に使われるなら、候補者に伝えるのが慎重な解釈です。
Biometric Information Privacy Act(BIPA)
BIPAは声紋を生体識別子に含めています。民間企業が声紋を取得する前には、何をなぜどれくらいの期間取得するかを書面で伝え、書面の同意を得て、保存期間と破棄の方針を公開しなければなりません。本人は訴訟を起こすことができ、過失による違反1件につき1,000ドル、故意または無謀な違反1件につき5,000ドルの法定損害賠償が定められています。
会議ツールにとって、これはもう理論上の話ではありません。In re Otter.AI Privacy Litigationでは、Otterが声で話し手を見分ける機能を通じて声紋を取得したと原告が主張しており、2026年8月13日、カリフォルニア北部地区の連邦判事がBIPAに基づく請求について却下申立てを退け、審理の継続を認めました。これは訴状の主張に関する判断で、Otterが法律に違反したという認定ではありません。別のBIPA訴訟、Cruz v. Fireflies.AIも2025年12月に提起されています。実務上の一歩として、ベンダーに声紋を作成するか、録音をまたいで同じ声を認識するかを書面で確認し、それがBIPAに関わるかを弁護士に相談しましょう。
ステップ3:ニューヨーク市では、AIを判断から切り離す
NYC Local Law 144は自動雇用判断ツール(AEDT)を対象とします。市のFAQによると、AEDTとは機械学習、統計モデル、データ分析またはAIを使い、雇用判断を助け、裁量的な判断を実質的に支援または代替するコンピューターツールです。規則では、スコアやランキングなどの簡略化された出力が唯一の要素である場合、他のどの基準よりも重く扱われる場合、人間の判断を覆すために使われる場合を、実質的な支援としています。
文字起こしだけならスコアではありません。しかし最近のノートテイカーの多くは、候補者を評価し、回答を順位付けし、採用・不採用を提案します。NYCにある職務で、チームがその出力に上の3つのいずれかの形で頼るなら、法律は使用前1年以内のバイアス監査、結果の概要の公開、そしてNYC在住の候補者への使用10営業日前までの通知を求めます。通知は求人票、郵便やメール、または自社サイトの採用ページに掲載できます。AEDTを使うこと、評価する資格や特性、合理的配慮の申請方法を含める必要があります。
執行は厳しくなりそうです。2025年12月、ニューヨーク州会計検査官の監査は市による同法の執行を効果的でないと評価し、市の担当機関は勧告の大半を実施すると約束しました。面接用ノートテイカーで最もシンプルな姿勢は、その出力を人が読むメモとして扱い、決して判断そのものにしないことです。
ステップ4:連邦の差別禁止法は引き続き適用される
2025年1月、EEOCは採用におけるAIに関する技術支援文書(ADAに関する2022年5月の文書と、Title VIIに関する2023年5月の文書)をウェブサイトから削除しました。法律そのものは変わっていません。Title VIIは保護されたグループに不当な格差をもたらす選考手続きを引き続き禁じ、ADAは障害のある応募者への合理的配慮を引き続き求めています。人が判断してもソフトウェアが関わっても同じです。
- 通知に配慮の申請方法を入れる。発話や聴覚に障害のある候補者には、別の形式が必要な場合があります。
- 文字起こしの品質でコミュニケーション能力を判断しない。訛りや話し方によって精度が下がるのはツールの限界であり、候補者の問題ではありません。
- 年齢、家族状況、健康、宗教、出身などの保護情報をメモに残さない。
- 職務要件に基づいて評価し、すべての判断に人が責任を持つ。
注目すべきその他の州
カリフォルニア州では、雇用における自動意思決定システムに関するCivil Rights Councilの規則が2025年10月1日に施行され、関連記録の4年間の保存も含まれます。California Privacy Protection Agencyの自動意思決定技術に関する規則は、対象企業に2027年1月1日までの対応を求めています。コロラド州は2024年のAI法をSB 26-189に置き換え、2026年5月14日に署名、2027年1月1日に施行されます。これらの州で採用するなら、法務確認の対象に加えましょう。
調整して使える候補者向け通知の例
面接の確認メールと一緒に送り、候補者が読む時間を取り、プレッシャーなく断れるようにします。角括弧の部分を置き換え、ツールに当てはまらない行は削除してください。米国の候補者には英語版を送りましょう。
件名:[日付]の面接でのメモの取り方について [氏名]様 [日付]の[職種]の面接にお時間をいただき、ありがとうございます。お話を正確に記録し、面接官があなたとの会話に集中できるよう、AIノートテイカーを使用したいと考えています。内容は次のとおりです。 録音するもの:会話の音声。面接官のパソコンで取り込みます。ボットや追加の参加者が通話に入ることはありません。 その後の扱い:[ツール]がクラウドで音声を文字起こしし、メモを作成します。同社との契約に基づいて処理されます。 閲覧できる人:この職種の採用チームのみです。 しないこと:あなたについて何かを決めることはありません。判断はすべて採用チームの人間が行います。[ツールがスコアや評価を出す場合は、ここでそのことと評価内容を明記] 保管期間:[期間]の後に削除します。[メールアドレス]までご連絡いただければ、早めに削除します。 あなたの選択:今でも面接の冒頭でもお断りいただけます。その場合は手書きでメモを取ります。お断りいただいても選考には一切影響しません。 配慮:面接で配慮が必要な場合は、このメールにご返信ください。 問題なければ「同意します」とご返信ください。録音を望まない場合もお知らせください。 よろしくお願いいたします。 [氏名]
- イリノイ州の職務:AI分析が判断に影響するなら、仕組みと評価内容のわかりやすい説明を加え、Human Rights Actに基づく通知を行う。
- AIスコアが判断を実質的に支援するNYCの職務:使用の10営業日前までに通知し、評価する資格を明記し、バイアス監査の概要へのリンクを載せる。
- ツールが声紋を作成し、候補者がイリノイ州にいる場合:面接前にBIPAに基づく別個の書面同意を得る。
面接の最初の1分で使う同意スクリプト
「始める前に一点だけ。メールでお伝えしたとおり、タイピングではなく会話に集中するため、この面接の音声を私のパソコンで録音しています。メモを見るのは採用チームだけで、判断するのはソフトウェアではなく人です。よろしいでしょうか。もし嫌であれば、まったく問題ありません。手書きでメモを取ります。」
そこで話すのをやめて待ちます。明確な同意があってから録音を始めましょう。候補者がためらったら「大丈夫ですよ」と伝え、手書きでメモを取ります。本当に選べたと感じた候補者は、あなたの選考プロセスを信頼します。
面接でノートテイカーを使い始める前のチェックリスト
- 職務、面接官、候補者の所在地を把握し、全当事者同意を前提にする。
- ベンダーに書面で確認する:音声の処理・保存場所、あなたのデータでモデルを学習するか、声紋を作成するか。
- ツールがメモを取るだけか、候補者を評価もするかを決める。評価するならNYC Local Law 144とイリノイ州の法律を確認する。
- 面接の確認メールと一緒に書面の通知を送り、返答を記録する。
- 面接の冒頭で改めて尋ね、断られたら手書きのメモで対応する。
- アクセスを採用チームに限定し、実際に守れる保管期間を決める。
- 依頼に応じて、また予定どおりに削除し、すべての判断に人が責任を持つ。
Relineの位置づけ
Relineは面接に参加しないノートテイカーです。Mac、Windows、Linux(ベータ)で、マイクとパソコンの音声をローカルに取り込むため、通話にボットは現れません。ローカルなのは取り込みだけで、文字起こし、AIメモ、保存は当社のクラウドで行われます。この点は候補者向け通知に含めてください。Relineは音声の入力元によってあなたの側と相手側を分けますが、録音をまたいで人物を認識するための声紋を保存することはありません。
メモは初期設定で非公開です。ワークスペースのロールだけではアクセスできず、閲覧する人には明示的な共有が必要なので、候補者のメモは採用チーム内にとどまります。Candidate Scorecard Lensは話題に上った項目だけを評価し、それ以外はN/Aとしますが、スコアと採用の推奨案も作成するため、その出力は人が確認するメモとして扱ってください。誰かがそのスコアを判断そのものとして扱い始めたら、NYC Local Law 144が関わってきます。Relineはスケジュールに沿ってメモを自動削除しないため、保存期間はチームで守るルールになります。削除依頼に応えるには、メモを削除したうえでゴミ箱から完全に削除してください(ゴミ箱のメモはそのままでも30日後に消去されます)。録音も一緒に削除されます。Relineが通知を代わりに送ることはありません。上のスクリプトはあなたの仕事であり、最も大切な部分です。
よくあるご質問
- 米国でAIノートテイカーを使うことを候補者に伝える必要はありますか?
- 実務上は必要です。約11の州が録音に全当事者の同意を求め、リモートの候補者はどこにいるかわからず、イリノイ州とニューヨーク市はAI独自の通知ルールを設けています。面接前に書面で、冒頭でもう一度伝え、不利益なく断れるようにしましょう。
- 候補者に伝えずに採用面接を録音するのは合法ですか?
- 連邦法は一方当事者の同意での録音を認めていますが、カリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ペンシルベニア、ワシントンなど全当事者同意の州では認められず、州をまたぐ通話では通常最も厳しい州が基準になります。ボットのないノートテイカーでも同じです。同意なしに録音しないでください。
- NYC Local Law 144はAIノートテイカーに適用されますか?
- 文字起こしだけのツールは、それ自体ではAEDTではありません。NYCの職務の採用で、そのスコアやランキングが唯一の要素になる、他の基準より重視される、人の判断を覆す場合にはAEDTになりえます。その場合はバイアス監査と10営業日前の通知が必要です。
- Illinois AI Video Interview ActはZoomでのライブ面接にも適用されますか?
- 条文は、応募者に動画面接を録画させAIで分析する雇用主を対象としています。ライブの音声ノートテイカーは別の形態ですが、ツールが動画を分析するなら法律を確認してください。これとは別に、Human Rights Actは採用判断にAIを使う場合の通知を求めています。
- 候補者はAIノートテイカーを断れますか?
- はい。断っても候補者が不利になってはいけません。手書きでメモを取り、断っても選考に影響しないことを通知に明記しましょう。不利益を伴う選択は本当の同意ではなく、会社の第一印象も損ないます。
- AIノートテイカーに関する候補者向け通知には何を書くべきですか?
- 何をどう録音するか、どこで処理・保存するか、誰が見るか、候補者を評価するか、判断するのは人であること、保管期間、削除の依頼方法、断り方、配慮の申請方法です。
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